日本語教育・日本語そして日本についても考えてみたい(その2)

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バルセロナから(2017年12月10日) : 日本語はどのように変化していくのか、を考える(その5)<写真: 黄昏れる冬の地中海にいざなわれる>

バルセロナから(2017年12月10日) : 日本語はどのように変化していくのか、を考える(その5)<写真: 黄昏れる冬の地中海にいざなわれる> 考えてみると奇妙なことだが、日本では母語である日本語を学校教育で体系的に教えられていない。言葉は自然の流れに任せるべきで触ってはいけない、という言語観が歪んだ形で現代日本社会の底流に流れているのだろうか。  学校で教えてくれない。親も、言葉に触ることを…

バルセロナから(2017年12月9日) : 日本語はどのように変化していくのか、を考える(その4)<写真: 茜色に染まり行くサグラダ・ファミリアに完成時の姿を夢想する>

バルセロナから(2017年12月9日) : 日本語はどのように変化していくのか、を考える(その4)<写真: 茜色に染まり行くサグラダ・ファミリアに完成時の姿を夢想する> 関西人の親しみやすさを売りにする人気アナウンサーが毎日MCを務めている情報TV番組がある。この番組でも気になる日本語がある。  「すごい」である。この人気アナウンサーは「すごい寒い」とか言う。この場合の「すごい」は形容詞だから当…

バルセロナから(2017年12月8日) : 日本語はどのように変化していくのか、を考える(その3)<写真: クルミ載せコカ(カタルーニャ風ピザ)に食指が動く>

バルセロナから(2017年12月8日) : 日本語はどのように変化していくのか、を考える(その3)<写真: クルミ載せコカ(カタルーニャ風ピザ)に食指が動く> ウィークデーの昼、毎日放送されている日本のTVバラエティ番組、そのMCの「~を得ない」のイントネーションが気になった。 このMCのお気に入りの表現なのか頻りに使うのだが、それがどうも「~オエナイ」に聞こえる。そこで注意して聴いてみると、先…

バルセロナから(2017年12月7日) : 日本語はどのように変化していくのか、を考える(その2)<写真: 冬の西日を受けて池に映る姿に鳩が>

バルセロナから(2017年12月7日) : 日本語はどのように変化していくのか、を考える(その2)<写真: 冬の西日を受けて池に映る姿に鳩が> 前稿(その1)で、スペイン語の不規則動詞をまだ幼い我が子に厳しく教える若いスペイン人の母親の迫力に慄(おのの)いた経験を記した。 日本の親との母語への向き合い方に乖離があることはすぐに気づいた。単に子への母語の伝承という視点だけでなく、言語に対する考え方…

バルセロナから(2017年12月6日) : スペイン伝統のクリスマス飾りであるミニチュア人形の世界「ベレン」に見入る

バルセロナから(2017年12月6日) : スペイン伝統のクリスマス飾りであるミニチュア人形の世界「ベレン」に見入る 今日も散歩がてらにサグラダ・ファミリア広場に並び建つクリスマスマーケットを覗き歩く。スペインの伝統的なクリスマス飾りに「ベレン」(Belen)がある。キリスト生誕の町ベツレヘムの当時の様子をミニチュア人形で再現して偲ぶのである。 ‌写真は有名な受胎告知の場面。天使ガブリエルがキリ…

バルセロナから(2017年12月5日) : 冬の夜空に浮かび上がる白亜の貴婦人カサ・ミラを観に行く

バルセロナから(2017年12月5日) : 冬の夜空に浮かび上がる白亜の貴婦人カサ・ミラを観に行く クリスマスがいよいよ近づいてくると、この世界遺産も華やかな化粧を施される。その前に素顔のカサ・ミラを観に行った。12月の冷たい夜空にこの白亜の貴婦人(夜は照明で黄金色に見えるが)は一層その美しさを際立たせエレガントな姿を闇に浮かび上がらせていた。 ガウディは地中海のイメージをカサ・ミラに被せた。建…

バルセロナから(2017年12月4日) : 遠くローマ時代にタイムスリップさせるセゴビアの水道橋の前で佇む

バルセロナから(2017年12月4日) : 遠くローマ時代にタイムスリップさせるセゴビアの水道橋の前で佇む  マドリードに居た1988年、周辺の見どころへ小さな旅を楽しんだ。 マドリードから北西へ90km足らずのところにローマ時代に建造された水道橋で知られているセゴビアがある。 また、白雪姫の城のモデルとなったアルカサルも有名である。 とくに世界遺産に登録されている旧市街に圧倒的な迫力で、見る者…

バルセロナから(2017年12月3日) : 日本語はどのように変化していくのか、を考える(その1) <写真:クリスマス用パン「コカ」>

バルセロナから(2017年12月3日) : 日本語はどのように変化していくのか、を考える(その1) <写真:クリスマス用パン「コカ」> スペインに住み始めて間もなくの頃だった。マドリードの小さな公園で何気無く地元の母子の会話を聞いていた。できるだけ生のスペイン語に耳を傾けようとしていたのだ。  小さな女の子が若い母親に何か言って叱られていた。  「ロンピードじゃなくてロトでしょ!」ときつい口調で…

バルセロナから(2017年12月2日) : 冬の夜の世界遺産サン・パウ病院のパノラマ写真

バルセロナから(2017年12月2日) : 冬の夜の世界遺産サン・パウ病院のパノラマ写真  今日の散歩は日が沈んでからになった。ガウディ通りを上って行くと、向こうから世界遺産サン・パウ病院(ガウディのライバル建築家リュイス・ドメネク設計)が両翼を広げて待ち受けてくれた。 すっかり日が落ちて、モダニズム建築の傑作が鳳凰(ほうおう)のごとくバルセロナの冬の夜に翔び立たんばかりの姿がなんとも凛々しい。

バルセロナから(2017年12月1日) : 紅い光に照らし出された妖しげなカサ・バトリョを冬の夜空の中で見上げる

バルセロナから(2017年12月1日) : 紅い光に照らし出された妖しげなカサ・バトリョを冬の夜空の中で見上げる 今日から12月。バルセロナは暦の上でも冬に突入した。 ここ数日けっこう冷え込んできていたが、久しぶりにパセオ・デ・グラシア(優雅な散歩道)に夜のカサ・バトリョ(アントニ・ガウディ作。世界遺産)を見に行った。 折しも紅くライトアップされた妖艷な姿を誇らしげに見せていた。 これからクリス…

バルセロナから(2017年11月30日) : スペインのクリスマスリースは美味しそうな王冠だった

バルセロナから(2017年11月30日) : スペインのクリスマスリースは美味しそうな王冠だった  サグラダ・ファミリア広場を囲むように並んでいるクリスマス飾りの出店を覗き歩き愉しんだ。  日本でも知られるようになったクリスマス飾りの一つであるクリスマスリースはスペイン語でコロナ・デ・ナビダー(Corona de Navidad クリスマスの王冠)と言う。  松ぼっくりやレモンなど、収穫の象徴と…

バルセロナから(2017年11月29日) : 「城壁と聖人の町」アビラで千両役者の野良猫と戯れる

バルセロナから(2017年11月29日) : 「城壁と聖人の町」アビラで千両役者の野良猫と戯れる  マドリードを少し南下すれば古都トレドだが、同様にマドリードから西方に90km足らずで「城壁と聖人の町」アビラを楽しめる。 マドリードに語学修行に来た1988年に私はこのヨーロッパ中世の面影漂う町に小旅行に来ていた。「アビラ旧市街と市壁外の教会群」は世界遺産に登録されている。町の歴史は古く、ギリシャ…

バルセロナから(2017年11月28日) : 初冬の西陽へ向かいながら故ネット知人と の繋がりを想う

バルセロナから(2017年11月28日) : 初冬の西陽へ向かいながら故ネット知人と の繋がりを想う 長年放っておいたフェィスブックの繋がりを見直そうと思った。繋がりの中にはすでに故人となった人もいるし。 だが、ふと考えた。本人はいなくなっても、その家族が故人との繋がりを引き継いでいるかも知れない。ネットで知り合った縁でわざわざ日本からバルセロナまで私を訪ねて来た人も何人かいる。そうした人たちと…

バルセロナから(2017年11月27日) : 額縁から抜け出たような古都トレドの絶景に感嘆する

バルセロナから(2017年11月27日) : 額縁から抜け出たような古都トレドの絶景に感嘆する 1988年にマドリードに居た私は、時間を見つけては近隣の見どころへ小さな旅をした。 トレドもその一つであった。 「スペインに1日しか居られないなら迷わずトレドへ行け」と言われる。それほど美しい街であり、タホ川に囲まれた旧市街は世界遺産。   私は古城を改装したパラドールに宿泊したが、部屋の窓を開けると…

バルセロナから(2017年11月25日) : 「を」が「ウォ」と先祖返りする歴史的転換期なのか

バルセロナから(2017年11月25日) : 「を」が「ウォ」と先祖返りする歴史的転換期なのか 俳句のTV番組を楽しみに見ている。 ところが、その番組で添削や講評をしている先生が「を」を明らかに「ウォ」と発音している。日本語について専門家と言っていい立場で、しかもテレビに出て影響力もあるのに、周りに誰か注意してくれる人はいないのかなあ、と番組で彼女が「ウォ」と吠える?度に感じていた。 もしやと思…

バルセロナから(2017年11月24日) : 「外国人が書くのが難しいと思うひらがな」その理由が面白い

バルセロナから(2017年11月24日) : 「外国人が書くのが難しいと思うひらがな」その理由が面白い 日本のTVクイズ番組を見ていたら「外国人が書くのが難しいと思うひらがなを9つ挙げよ」 というクイズが出されていた。  日本人の回答者が予想した回答は「を」とか「ゆ」だったが、これらは9位以内には入っていなかった。そう言えば日本語のクラスで「を」の文字が大好きで何度も書いて見せてくれたスペインの…

バルセロナから(2017年11月23日) : ガウディ広場に現れたウエディング姿の花嫁にほっこりする

バルセロナから(2017年11月23日) : ガウディ広場に現れたウエディング姿の花嫁にほっこりする  いつものようにサグラダ・ファミリアをグルリと周ってガウディ広場に入る。すると、池の前から石段をゆっくりと降りて来るウエディングドレス姿が目に入ってきた。  紅葉に囲まれた池越しに屹立する聖家族教会をバックにロマンチックな写真を撮ったのだろう。  花嫁の一行はメキシコ人だとすぐ見てとれた。そう言…

バルセロナから(2017年11月22日) : ウクライナ民族衣装の少女も似合う国際都市バルセロナの街角

バルセロナから(2017年11月22日) : ウクライナ民族衣装の少女も似合う国際都市バルセロナの街角 バルセロナは国際都市である。 マドリードからバルセロナに移り住んだのは私のように極東の島国からひとり来た者も違和感なく迎えてくれると直感したからである。 この街には国際都市として異邦人が心地良く生きて行ける包容力がある。   晩秋の趣き漂うバルセロナの街角を歩くと、ほら、そこにも、花のような民…

バルセロナから(2017年11月21日) : スペインのサツマイモの焼き芋は炭火焼きだった

バルセロナから(2017年11月21日) : スペインのサツマイモの焼き芋は炭火焼きだった 今日は日本語授業の帰路に良い匂いに導かれるように屋台の前に足を止めた。 店先の鍋を覗くと中央の炭火を囲むようにスペインのサツマイモが良い加減に焼けていた。 スペインにも焼き芋の美味しい季節がやって来たのだ。 スペインのサツマイモはボニアート(Boniato)と言って中は鮮やかなオレンジ色である。   日本…