バルセロナから(2018年2月27日<その2>) : バルセロナに雪が降る
バルセロナから(2018年2月27日<その2>) : バルセロナに雪が降る 今日は晩冬の地中海を見にバルセロネータ海岸まで行ってみた。途中、視界に何やら白い物がヒラヒラと舞い降りてくるのを感じた。何だろう、そう言えば先日アーモンドの木に白く小さな花がついていたから、それが風に飛ばされたのかな?とど... 続きをみる
バルセロナから(2018年2月27日<その2>) : バルセロナに雪が降る
バルセロナから(2018年2月27日<その2>) : バルセロナに雪が降る 今日は晩冬の地中海を見にバルセロネータ海岸まで行ってみた。途中、視界に何やら白い物がヒラヒラと舞い降りてくるのを感じた。何だろう、そう言えば先日アーモンドの木に白く小さな花がついていたから、それが風に飛ばされたのかな?とど... 続きをみる
バルセロナから(2018年2月27日) : 「サグラダ・ファミリア異聞」(32)狼男より恐ろしい奴
バルセロナから(2018年2月27日) : 「サグラダ・ファミリア異聞」(32)狼男より恐ろしい奴 その日の夜11時過ぎ、警備員の最終見回りが終わった頃、サグラダ・ファミリアの「生誕の門」を見上げている二人の男がいた。濃紺の夜空に突き刺さるように聳(そび)える8本の尖塔……“怪物”の触角、その横に... 続きをみる
バルセロナから(2018年2月26日<その2>) : ランブラス通り、世界はこうあってほしい
バルセロナから(2018年2月26日<その2>) : ランブラス通り、世界はこうあってほしい いつもより足を延ばしてランブラス通りまで散歩する。私にとって最も勝手知った通りである。不思議に思うのは20年この通りを行き来して、治安の悪さを感じたことが無いことである。数年前にはこの歩行者専用道路に車が... 続きをみる
バルセロナから(2018年2月26日) : 「サグラダ・ファミリア異聞」(31)絶対に追い詰めてやる
バルセロナから(2018年2月26日) : 「サグラダ・ファミリア異聞」(31)絶対に追い詰めてやる 翌朝、十時には私は佐分利の探偵事務所にいた。佐分利の肩の傷は昨日のうちに病院で治療したが、幸い大事に至らなかった。今朝は、例によってこの男は何事もなかったように、涼しい顔をして古びた黒いデスクの... 続きをみる
バルセロナから(2018年2月25日<その2>) : 「セクシーなキリン」に出逢う
バルセロナから(2018年2月25日<その2>) : 「セクシーなキリン」に出逢う ディアゴナル通りからカタルーニャ通りへ入ったところに妙な彫像がポーズをとっている。"La girafa coqueta" 像である。カタルーニャ出身の彫刻家「 Jose Granie」による彫刻(1972年)で、ゴ... 続きをみる
バルセロナから(2018年2月25日) : 「サグラダ・ファミリア異聞」(30)佐分利健、何という男だ
バルセロナから(2018年2月25日) : 「サグラダ・ファミリア異聞」(30)佐分利健、何という男だ 「健!」マリアが佐分利に駆け寄ろうとした。佐分利は左掌をマリアに突き出して待ったをかけた。そして右手の真剣の剣先を挙げると男に近づき、倒れた男の右手から僅かに離れた刀剣の柄を左手で握って拾い上げ... 続きをみる
バルセロナから(2018年2月24日<その2>) : 「そだね」カーリングジャパン女子の北海道弁
バルセロナから(2018年2月24日<その2>) : 「そだね」カーリングジャパン女子の北海道弁 今回の平昌五輪で銅メダルを獲得した日本のカーリング女子チームが人気だ。試合中にとるコミュニケーションの言葉に癒やされる、とのことだ。 彼女たちの話す北海道弁、例えば「そだね」「~かい」などの遣り取りが... 続きをみる
バルセロナから(2018年2月24日) : 「サグラダ・ファミリア異聞」(29)下段白眼の剣法
バルセロナから(2018年2月24日) : 「サグラダ・ファミリア異聞」(29)下段白眼の剣法 佐分利はずしりと重い真剣の感触を確認するように、柄に掛けた両手を握り直した。真剣で勝負したことはないが、普段から真剣での構えと振りの稽古を怠らなかった。それは少年時代から父の厳しい指導の一環だった。道... 続きをみる
バルセロナから(2018年2月23日<その2>) : こんな所に「見ざる言わざる聞かざる」の3猿が
バルセロナから(2018年2月23日<その2>) : こんな所に「見ざる言わざる聞かざる」の3猿が 数年前に日本から買って来たパソコンがとうとうウンともスンとも言わなくなった。そろそろガタが来ていることは分かっていたが、なだめすかし何とか使ってきたが、いよいよ年貢の納め時か。 この分野に精通してい... 続きをみる
バルセロナから(2018年2月23日) : 「サグラダ・ファミリア異聞」(28)サムライ「真剣」を抜く
バルセロナから(2018年2月23日) : 「サグラダ・ファミリア異聞」(28)サムライ「真剣」を抜く 佐分利のその動きに男がアッと思った瞬間、佐分利の右手から竹刀が矢のように放たれた。男は眼前に飛んできた竹刀をすんでのところで逆袈裟(けさ)切りで払い上げた。その一振りが男の態勢に隙を生んだ。すか... 続きをみる
バルセロナから(2018年2月22日<その2>) : タイル画が洒落た水飲み場
バルセロナから(2018年2月22日<その2>) : タイル画が洒落た水飲み場 散歩の途中で出逢うバルセロナの水飲み場は思わず立ち止まって見入る魅力がある。今日の散歩はいつもより寄り道を愉しみ、洒落たタイル画の水飲み場前で佇んでいた。 スペインでは魅力的な水飲み場が多い。昔、その灼熱の夏に行き倒れ... 続きをみる
バルセロナから(2018年2月22日) : 「サグラダ・ファミリア異聞」(27)武蔵の「二天一流」
バルセロナから(2018年2月22日) : 「サグラダ・ファミリア異聞」(27)武蔵の「二天一流」 「勝負あったな」佐分利は呟くように男に言った。男は無言のまま左手で右手首を押さえていた。叩き落とした竹刀を佐分利が拾おうとしたその瞬間、男が右手を肩越しに背中に廻した。男の背中には真剣の太刀が括られ... 続きをみる
バルセロナから(2018年2月21日<その2>) : 「同じい本」「同じの本」「同じな本」?(考察2: 日本語教師の悦び)
バルセロナから(2018年2月21日<その2>) : 「同じい本」「同じの本」「同じな本」?(考察2: 日本語教師の悦び) 「同じ」は文語ではシク活用の形容詞で、現代語(口語)としては「すさまじい」「ひもじい」という言葉から類推すると「同じ」の終止形(と連体形)は「同じい」になるはずだが、その「同... 続きをみる
バルセロナから(2018年2月21日) : 「サグラダ・ファミリア異聞」(26)心も凍りつく叫び声
バルセロナから(2018年2月21日) : 「サグラダ・ファミリア異聞」(26)心も凍りつく叫び声 佐分利はその男に正対し、ゆっくりと歩み寄った。男との距離が三メートルほどに縮まったとき、左手に持っていた竹刀(しない)を上に放り投げた。竹刀はきれいな弧を描いて男の頭上で回転した。男は顔を佐分利に向... 続きをみる
バルセロナから(2018年2月20日<その2>) : 「同じい本」「同じの本」「同じな本」? (考察1)
バルセロナから(2018年2月20日<その2>) : 「同じい本」「同じの本」「同じな本」? (考察1) 前回、動詞「違う」を「ちがくて」と形容詞のように使う日本人を取り上げたが、その「違う」の反対語が「同じ」という“特異な言葉”である。なぜ“特異”かと言うと、活用させてみると分かる。 「同じ」と... 続きをみる
バルセロナから(2018年2月20日) : 「サグラダ・ファミリア異聞」(25)天才剣士
バルセロナから(2018年2月20日) : 「サグラダ・ファミリア異聞」(25)天才剣士 すると、鉄骨が落下した傍に組まれている足場の最上部、その薄暗い天井付近の澱んだ空気が微かに揺れた。その空気の澱みに顔を上げて、佐分利はその威圧感のある声を聖堂内に響かせ続けた。その声は高い天井にエコーのように... 続きをみる
バルセロナから(2018年2月19日<その2>) : 「違くない」「違そうだ」「違くて」?
バルセロナから(2018年2月19日<その2>) : 「違くない」「違そうだ」「違くて」? TVの情報番組でも「◯◯屋」などでは、MCはプロのアナウンサーらしくないところが一般受けしているのだろう。怪しげな日本語を多用して憚らない。しかし、考えてみれば「一般受けする日本語」が「怪しげ」と言えるのも... 続きをみる
バルセロナから(2018年2月19日) : 「サグラダ・ファミリア異聞」(24)やっぱりお前だったか
バルセロナから(2018年2月19日) : 「サグラダ・ファミリア異聞」(24)やっぱりお前だったか 「もう来ているよ。ホセ」 携帯を通した佐分利の声が、まるですぐ傍(そば)から聞こえてくる響きで、ホセは思わず周りを見渡した。すると聖堂内部への入り口である「希望の扉」が開いていて、そこにサムライが... 続きをみる
バルセロナから(2018年2月18日<その2>) : 小平選手の韓国選手への抱擁
バルセロナから(2018年2月18日<その2>) : 小平選手の韓国選手への抱擁 平昌五輪、スピードスケート女子500メートルで小平奈緒さんが金メダルに輝いた。五輪3連覇を逃した韓国の李相花さんを抱擁し敬意を伝えた場面が印象的だった。 国民同士のこうした好ましいシーンを重ねていくことによって日本と... 続きをみる
バルセロナから(2018年2月18日) :「サグラダ・ファミリア異聞」 (23)鉄骨落下
バルセロナから(2018年2月18日) :「サグラダ・ファミリア異聞」 (23)鉄骨落下 上方で何かが外れたようなその鈍い音に、加納は反射的に身構えた。間髪を置かず、その嫌な音がガランとした高い天井に響くのとほとんど同時に、 「クイダード(危ない)!」と聖堂内部に、とてつもない大声が響き渡った... 続きをみる
バルセロナから(2018年2月17日<その2>) : スペイン人が「常識」を「ヨウしき」と読む背景は?
バルセロナから(2018年2月17日<その2>) : スペイン人が「常識」を「ヨウしき」と読む背景は? 日本語2級レベルのクラスで読解問題をある学生に読ませていると、「常識」を「ヨウしき」と読んだ。このレベルの学生でも、やっぱりそうなのか、と思った。 スペイン語では日本語音の「ジョ」と「ヨ」に区別... 続きをみる
バルセロナから(2018年2月17日) : 「サグラダ・ファミリア異聞」(22)ガウディの遺志
バルセロナから(2018年2月17日) : 「サグラダ・ファミリア異聞」(22)ガウディの遺志 この日から三日後、サグラダ・ファミリアの主任石工、加納公彦に懼(おそ)れていたことが起きた。 加納はその日、どうしても仕上げておきたい彫刻があった。 サグラダ・ファミリア「生誕の門」の中央に十五体の像... 続きをみる
バルセロナから(2018年2月16日) : 手提げバッグ「アネキ」(anekke)とは「姉貴」?
バルセロナから(2018年2月16日) : 手提げバッグ「アネキ」(anekke)とは「姉貴」? 日本語クラスの授業を終え、夕闇も濃くなった帰路。何気なくカバン屋の店先にめを遣ると、日本風な絵柄の手提げバッグが目に入ってきた。着物を着た日本の少女らしき姿が描かれ、アルファベットで"anekke"、... 続きをみる
バルセロナから(2018年2月16日) : 「サグラダ・ファミリア異聞」(21)狂気と悪魔の握手
バルセロナから(2018年2月16日) : 「サグラダ・ファミリア異聞」(21)狂気と悪魔の握手 その刀身は八十センチほどある見事な太刀で、刀剣について素人の私が見てもその刃先の深い輝きや反り具合も絶妙のように思える。佐分利はさらに柄を外して茎(なかご)を見せた。そこには、出羽国住人大慶庄司直胤と... 続きをみる
バルセロナから(2018年2月15日<その2>) : ユニークなマネキンにヨーロッパ人の感性を観る
バルセロナから(2018年2月15日<その2>) : ユニークなマネキンにヨーロッパ人の感性を観る スペインのマネキンはユニークなものが多い。ガスマスクや動物のマスクを着けたもの、中には紙袋を被ったり顔が花になっていたりするものもある。日本だと、ユニークさよりも万人に受け入れられるようなカッコいい... 続きをみる
バルセロナから(2018年2月15日) : 「サグラダ・ファミリア異聞」(20)《くのいち》と忍術道場
バルセロナから(2018年2月15日) : 「サグラダ・ファミリア異聞」(20)《くのいち》と忍術道場 「ま、そういうわけで、君も身辺には注意したほうがいい」佐分利は顎を撫でながら私を上目づかいで見据えて言った。 「ところで、ゴシック地区にある忍術道場ね。あそこにマリアを通わせているんだ。彼女は父... 続きをみる
バルセロナから(2018年2月14日<その2>) : スペインのバレンタインデー
バルセロナから(2018年2月14日<その2>) : スペインのバレンタインデー スペインのバレンタインデーは日本ほど商業的ではない。日本のように女性から男性にチョコレートをプレゼントする日ということではなく、男女双方でプレゼントの遣り取りをする。どちらかというと寧ろ男性から女性へ花やケーキなど... 続きをみる
バルセロナから(2018年2月14日) : 「サグラダ・ファミリア異聞」(19)人違い襲撃
バルセロナから(2018年2月14日) : 「サグラダ・ファミリア異聞」(19)人違い襲撃 「俺と?」 私は佐分利の顔をまじまじと見た。 「そうさ、な」 いつもの口調で言うと、彼は思わせ振りにニヤリとして言葉を続けた。 「お前の学生時代の悪友、サグラダの主任石工の加納公彦さんね。彼がアンヘ... 続きをみる
バルセロナから(2018年2月13日<その2>) : ピカソのアヴィニョン通り
バルセロナから(2018年2月13日<その2>) : ピカソのアヴィニョン通り ピカソの「アヴィニョンの女たち」は、フランスのアヴィニョンを舞台に描かれた名画のように思っている人もいるが、じつはバルセロナのこの通り「アヴィニョン通り」をイメージして描かれたものである。若き日のピカソがよくこの道を... 続きをみる
バルセロナから(2018年2月13日) : 「サグラダ・ファミリア異聞」(18)サグラダの勢力争い
バルセロナから(2018年2月13日) : 「サグラダ・ファミリア異聞」(18)サグラダの勢力争い 「そうすると、黒装束の男はサグラダの晒し首事件と関わりがあると…」私は佐分利の前の黒光りした大きなデスクに腰を掛けながら、彼の顔を見つめた。窓のカーテン越しに西日が差し、この探偵の頬をオレンジ色に染... 続きをみる
バルセロナから(2018年2月12日<その2>) :えっ、「教えて【もらう】あと」?
バルセロナから(2018年2月12日<その2>) :えっ、「教えて【もらう】あと」? 「教えてもらう前と後」というTV番組がある。 内容が紹介された後、 画面には 「教えてもらう前」⇒「教えてもらう後」 と大きく書かれた。 えっ、「教えて【もらう】後」? それはないだろう! と呆れた。 当然... 続きをみる
バルセロナから(2018年2月12日) : 「サグラダ・ファミリア異聞」(17)沈黙と饒舌
バルセロナから(2018年2月12日) : 「サグラダ・ファミリア異聞」(17)沈黙と饒舌 左手でバランスを取りながら右手の竹刀を振りかぶって跳び掛かったサムライは、跳んだ瞬間に舌打ちをした。果たして、彼は虚しく落ち葉溜りの上に着地した。木の下に蹲(うずくま)っていたはずの黒装束の男は、すで... 続きをみる
バルセロナから(2018年2月11日<その2>) : 詩人の"悪文"
バルセロナから(2018年2月11日<その2>) : 詩人の"悪文" 小説家吉本ばななの父、と言えば分かりやすいのかも知れない。詩人、思想家の吉本隆明の文章に久し振りに出逢った。相変わらずの、と言ったらいいのか、"悪文"である。が、駄文ではない。詩人の文章というものは往々にして、こうである。 日... 続きをみる
バルセロナから(2018年2月11日) : 「サグラダ・ファミリア異聞」(16)"太刀" 対 "竹刀"
バルセロナから(2018年2月11日) : 「サグラダ・ファミリア異聞」(16)"太刀" 対 "竹刀" 間髪を置かず、サムライは右手を伸ばし、ひらりと跳んだ。そのまま太い枝に手を掛けエビ反... 続きをみる
バルセロナから(2018年2月10日<その2>) : 「クレマ・カタラーナ」カタルーニャ伝統のカスタードクリーム、ご賞味あれ
バルセロナから(2018年2月10日<その2>) : 「クレマ・カタラーナ」カタルーニャ伝統のカスタードクリーム、ご賞味あれ クレマ・カタラーナは、カタルーニャ伝統の卵黄たっぷりのカスタード。白黄のクリームには色鮮やかなカラメルがかかっていて絶妙な味のデザートになっている。 一見プリンに似てい... 続きをみる
バルセロナから(2018年2月10日) : 「サグラダ・ファミリア異聞」(15)命中
バルセロナから(2018年2月10日) : 「サグラダ・ファミリア異聞」(15)命中 サムライの投げた礫は、その“枝”を真ん中からしならせた。その瞬間、「むむ…」という微かな呻き... 続きをみる
バルセロナから(2018年2月9日<その2>) : 冬空のバルセロナ港
バルセロナから(2018年2月9日<その2>) : 冬空のバルセロナ港 午前の日本語クラスの授業を終え、午後からの授業に備え地中海の薫りに誘われバルセロナ港にやって来た。 海鳥が騒ぎ飛び、冬空の下で出番を待つ白い帆船が地中海のコバルトブルーに揺られていた。 春にはもう少し待たされる、か。
バルセロナから(2018年2月9日) : 「サグラダ・ファミリア異聞」(14)月明かりの対決
バルセロナから(2018年2月9日) : 「サグラダ・ファミリア異聞」(14)月明かりの対決 佐分利は剣道の練習着のまま、とっさに竹刀(しない)を握り、黒装束の男を追った。彼の... 続きをみる
バルセロナから(2018年2月8日<その2>) : 「決(める)」はなぜ「水」(氵)が関係するのか?(学生からの質問)
バルセロナから(2018年2月8日<その2>) : 「決(める)」はなぜ「水」(氵)が関係するのか?(学生からの質問) 私の長年の愛読書の一つに漢和辞典の『字源』がある。語源の解説が面白い。が、執筆者が複数なので当然解説に論理的矛盾が見えてくる。それで辞典の余白に私見をメモしていく。私の辞書はこう... 続きをみる
バルセロナから(2018年2月8日) : 「サグラダ・ファミリア異聞」(13)殺気
バルセロナから(2018年2月8日) : 「サグラダ・ファミリア異聞」(13)殺気 佐分利が黒装束の男に襲撃された件を私に苦笑いを交えて話してくれてから二週間後、また襲われるとは彼も思ってもいなかったようだ。 ... 続きをみる
バルセロナから(2018年2月7日<その2>) : 「倒れびと」ー世界遺産サン・パウ病院からの帰路にて
バルセロナから(2018年2月7日<その2>) : 「倒れびと」ー世界遺産サン・パウ病院からの帰路にて バルセロナを歩いていると、急に倒れる人を目にすることがある。世界遺産サン・パウ病院の敷地内にある図書館に行った帰路、横断歩道を渡っていると、向こうから渡り始めた老紳士が2、3歩目で突然バッタリ... 続きをみる
バルセロナから(2018年2月7日) : 「サグラダ・ファミリア異聞」(12)黒装束の男
バルセロナから(2018年2月7日) : 「サグラダ・ファミリア異聞」(12)黒装束の男 「あっ」と思った。その瞬間に、サムライは上半身を弓のように仰け反らせて逃れたが、危うく鼻先を切られるところだった。突然刃物が飛んできて驚いたが、それが手裏剣だと分かった時は、むしろ呆れてしまった。 何しろ... 続きをみる
バルセロナから(2018年2月6日<その2>) : 中世都市バルセロナのタイル画に佇む
バルセロナから(2018年2月6日<その2>) : 中世都市バルセロナのタイル画に佇む カタルーニャ広場からランブラス通りに入り、少し歩いて行くと左手にタイル画も鮮やかな水飲み場が目に入る。 バルセロナを中心とするカタルーニャ・アラゴン連合王国が勢力を拡大して、アテネに至るまで地中海を手中にして... 続きをみる
バルセロナから(2018年2月6日) : 「サグラダ・ファミリア異聞」(11)女忍者
バルセロナから(2018年2月6日) : 「サグラダ・ファミリア異聞」(11)女忍者 マリアは、ここ佐分利探偵事務所の大家の娘だ。スェーデン人の母親がこのピソ(スペインの集合住宅)の経営をやっていて、母一人子一人の彼女たちはこの事務所の上に住んでいる。事務所設立当時は彼女はまだ中学生だったが、今は... 続きをみる
バルセロナから(2018年2月5日<その2>) : 劇場から女性の脚が! 金田一さん事件だよ~
バルセロナから(2018年2月5日<その2>) : 劇場から女性の脚が! 金田一さん事件だよ~ バルセロナ大学前の通りを東へブラリと歩いて行くと左手に大きな劇場がある。何気なく上方に目を移すと、なんと、女性が真っ逆さまに正面ファサードの凹みに上半身を突っ込み、脚だけがどんよりした冬空へハイヒールを... 続きをみる
バルセロナから(2018年2月5日) : 「サグラダ・ファミリア異聞」(10)悪戯っぽい微笑み
バルセロナから(2018年2月5日) : 「サグラダ・ファミリア異聞」(10)悪戯っぽい微笑み 「だから、ひょっとすると」私はすかさず口を挟んだ。 「加納が俺を通じてお前に捜査を依頼したのも、あいつ自身の身に危険を感じたからに違いない」 「そうさ、な」佐分利は、こんなときいつも言う口癖を、何か... 続きをみる
バルセロナから(2018年2月4日<その2>) : 甘党のパラダイス
バルセロナから(2018年2月4日<その2>) : 甘党のパラダイス ある年齢から甘い物も食べるようになった。 散歩から家路につく、なだらかな下り坂をゆっくりと降りて行くと創作ケーキ屋の前に出る。新しいケーキが店先を彩っている。 私は辛党とも甘党とも言えないが、このラインナップは甘党だったら... 続きをみる
バルセロナから(2018年2月4日) : 「サグラダ・ファミリア異聞」(9)転落死と晒し首
バルセロナから(2018年2月4日) : 「サグラダ・ファミリア異聞」(9)転落死と晒し首 「君の友人の日本人石工、加納公彦さんね。彼が私の携帯の留守電に入れてくれていたメッセ―ジでわかったんだけど、五十五年前にサグラダ・ファミリアから転落死したセルヒオ・マルティネス氏は、今回の晒し首の被害者、ア... 続きをみる
バルセロナから(2018年2月3日<その2>) : 不思議な壁絵に見入る
バルセロナから(2018年2月3日<その2>) : 不思議な壁絵に見入る いつもの散歩道から一本外して入ってみた。 その坂道を上って行くと、不思議なウォールアートが目の前に現れた。立ち止まり、首を傾げながら丹念に見ても、どうも不思議な壁絵だ。 さて、急な坂道に歩を進め上り切ると、あとは左に曲がり... 続きをみる
バルセロナから(2018年2月3日) : 「サグラダ・ファミリア異聞」(8)確執
バルセロナから(2018年2月3日) : 「サグラダ・ファミリア異聞」(8)確執 「で、その五十五年前の石工の死と今回の事件は何か関係がありそうなのか?」私はサムライに水を向けてみた。佐分利と私は事件現場から早々に引き揚げて、彼の探偵事務所にいる。もう午前八時を回っていた。自分で作った朝食……蜂蜜... 続きをみる