日本語教育・日本語そして日本についても考えてみたい(その2)

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バルセロナから(2018年9月12、13日) : 「簡約日本語」の教訓

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バルセロナから(2018年9月12、13日) : 「簡約日本語」の教訓


1988年、国立国語研究所で当時の所長の野元菊雄が中心となり開発を進めて発表した「簡約日本語」の発想は、≪日本語は難しい≫という固定観念から生じたものだろう。


その「簡約日本語」の一節を原文と比較しながら見てみよう。


[原文]まず北風が強く吹き始めた。しかし北風が強く吹けば吹くほど、旅人はマントにくるまるのだった。遂に北風は、彼からマントを脱がせるのをあきらめた。


[簡約日本語]まず北の風が強く吹き始めました。しかし北の風が強く吹きますと吹きますほど、旅行をします人は、上に着ますものを強く體につけました。とうとう北の風は彼から上に着ますものを脱ぎさせますことをやめませんとなりませんでした。


この「簡約日本語」を読んで、日本語を母語とする者なら、自分の母親を侮蔑されたような気持ちになるのではないだろうか。


如何なる言語も一言語としての総体から観れば、「易しい言語」も「難しい言語」も存在しないし、言語は一語たりとも、

その背景となる文化・社会との関わり全体から無関係では成り立ち得ないのである。


あるのは言語の自律性に基づいて「整備された言語」と「未整備の言語」だけなのである。


写真は、テニスのUS open で優勝した大坂なおみ(Naomi Osaka)選手。いろいろな意味で彼女は「新しい日本人のシンボル」(Un símbolo de los nuevos japoneses)となるだろう。

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