日本語教育・日本語そして日本についても考えてみたい(その2)

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バルセロナから(2018年11月14、15日) : 平井堅の「トケイ」と森昌子の「センセイ」

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バルセロナから(2018年11月14、15日) : 平井堅の「トケイ」と森昌子の「センセイ」


たとえば「時計」をローマ字で「tokee」と表記している日本語教材があるが、これは勇み足と言わざるを得ないだろう。


アメリカの童謡『大きな古時計』や札幌市のイメージソング『時計台の鐘』でも「とけい」は明確に「トケイ」と発音されて歌われている。


現代の流行歌手である平井堅が「大きな大きな古時計」と歌っているのを聞いても、「フルドケ{-}」ではなく明確に「フルドケ《イ》」と歌っていることは、現代の日本語母語者も「とけい」を決して「トケー」と認識してはいないということではないだろうか。


同じことは、森昌子の歌う「せんせい」にも言える。誰が聞いても明らかに「せんs《ei》」と発音している。


単に歌手一人の意識だけではなく、作詞家、作曲家を初めとするその曲に携わる言葉や音声の専門家たちの意識の統合が「とけい」や「せんせい」を「トケ《イ》」「センセ《イ》」となっているのである。


因みに、「オ列+う」に関して言えば、歌謡曲で見ると、かぐや姫の歌った『妹(いもうと)』や内藤やすこが歌った『弟(おとうと)よ』でも明らかに「イモート」「オトート」と歌われていて、この点からも「オ列+う」は「オの長音」と認識されているという事実を補強している。


したがって、「オ列+う」が「オ列の長音」であることを引き合いに出して、「エ列+い」も「エ列の長音」と規定してもいいのではないか、と言う人がいるが、「おとうと」「いもうと」などは歌の場合であっても「オトート」「イモート」と「才列の長音」の認識で歌われているのを確認できることからしても、「オ列+う」が「オ列の長音」として発音されることは明らかで、歌においても「エ列の長音」と認識されていない「エ列+い」と同一視することはできない。


このことは先に挙げた「現代仮名遣い」の記述にある 《お段の仮名の長音の場合には、「お」のかわりに「う」を添える」》 という文言と矛盾しない。


戦いの前に士気を鼓舞したりするときに挙げる掛け声「えいえいおう」(曳曵応)はカタカナでは「エ《イ》エ《イ》オ{ー}」となって、googleの検索でも「エーエーオー」では出て来ない。


今日でも「えい」が「エイ」、「おう」が「オー」、と認識されている良い例である。


下に平井堅の「大きな古時計」と森昌子の「せんせい」の歌の動画をリンクしておいた。「と《けい》」と「せん《せい》」の発音を確かめて頂きたい。


♫ 平井堅「大きな古時計」https://youtu.be/Y0vSH2VW-tk


♫ 森昌子「せんせい」

https://youtu.be/EYnuZLPbTsE


次回はローマ字表記に触れてみる。


写真は、久しぶりに「カサ・ミラ」(La Casa Milà, La Pedrera)の屋上で。

ガウディはこの屋上にいろいろな仕掛けをしているが、それ以上にオブジェ自体の魅力をたっぷり愉しめる。

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