日本語教育・日本語そして日本についても考えてみたい(その2)

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バルセロナから(2018年2月13日) : 「サグラダ・ファミリア異聞」(18)サグラダの勢力争い

バルセロナから(2018年2月13日) : 「サグラダ・ファミリア異聞」(18)サグラダの勢力争い



「そうすると、黒装束の男はサグラダの晒し首事件と関わりがあると…」私は佐分利の前の黒光りした大きなデスクに腰を掛けながら、彼の顔を見つめた。窓のカーテン越しに西日が差し、この探偵の頬をオレンジ色に染めている。


 佐分利はポケットから煙草を一本抜き取り、そばにあったブックマッチを引き寄せ、大事そうに火を点けた。そして、煙たそうに眼を細めて紫煙を燻(くゆ)らすと、再び口を開いた。



「サグラダの事件の背後には、前にも話したとおり、サグラダ内部の勢力争いが絡んでいる。晒し首となったアンヘラさんが所属していた”ガウディ未来の会”にはアンヘラさんの父であるサグラダ財団理事長がバックについていたが、サグラダ・ファミリアの実権を左右するのは理事長ではなく寧ろ役員団だ。その役員団のすべてが“未来の会”に警戒心を抱く”ガウディを伝える会”の主要メンバーだ。



そして、“伝える会”には以前から黒い噂が絶えなかった。アンヘラさんの祖父、すなわち財団理事長の父が五十五年前にサグラダ・ファミリアから転落死したセルヒオ・マルティネス氏も、“伝える会”の前身のグループに殺されたらしい。それから、私を二度も襲撃してきた黒装束の男は、どうやら“伝える会”に関係ある、と睨んでいる。


じつは俺はある人物と間違われて襲われたんだと思う。ある人物とは…」



 佐分利はその左手の煙草の灰を落とし、しばらく間をおいてから、右手の親指と人差し指で拳銃をつくり、その銃口を私に向けて言った。


 「お前だよ。高梨」


 歌舞伎の大見得のように、その眼をギョロリと剥(む)いた。



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