バルセロナから(2017年12月9日) : 日本語はどのように変化していくのか、を考える(その4)<写真: 茜色に染まり行くサグラダ・ファミリアに完成時の姿を夢想する>
バルセロナから(2017年12月9日) : 日本語はどのように変化していくのか、を考える(その4)<写真: 茜色に染まり行くサグラダ・ファミリアに完成時の姿を夢想する>
関西人の親しみやすさを売りにする人気アナウンサーが毎日MCを務めている情報TV番組がある。この番組でも気になる日本語がある。
「すごい」である。この人気アナウンサーは「すごい寒い」とか言う。この場合の「すごい」は形容詞だから当然「すごく寒い」となる。日本語の形容詞は活用するのである。活用させなければ、(人数がとても多い)ことを表現するのに「すごい人が多い」でもいいことになる。だが、これでは「すごい人」が「多い」と受け取られかねない。
前稿(その3)で触れたバラエティ番組のMCは役者・タレントであるのに比して、この情報番組のMCは少なくともプロのアナウンサーである。視聴者への影響もより大きい。
日本の学校教育では初等教育から高等教育まで日本語を体系的に教えるシステムが実質的に確立されていない。だからこそ、日本語を母語としながら日本語そのものへの知識にも運用力にも、なかなか自信を持てない日本人は、マスメディアから、とりわけ、TV番組のMCから発せられる日本語に影響されやすいのである。
因みに、「すごい」の無活用傾向は、既に日本人の全世代に蔓延してしまっているのが実情なのだが。
さて、今日の写真は冬日を浴びたサグラダ・ファミリア。「受難のファサード」が12月の西日を浴び、茜色に染まって行く。こちら側の4本の尖塔の間から徐々にその姿を現して来た中央塔。これがドンドン伸びて周りを睥睨(へいげい)し主役になる日は以外に早いのだろう。