日本語教育・日本語そして日本についても考えてみたい(その2)

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バルセロナから(2018年11月28、29日) : 「富士山を」は「fujisan o」か「huzisan wo」か

#スペイン #バルセロナ #日本語(japonés) #ローマ字 #言語交換会


バルセロナから(2018年11月28、29日) : 「富士山を」は「fujisan o」か「huzisan wo」か


私はローマ字表記についての疑問を以前から持っていた。私のところ(スペイン、バルセロナ)へ来る日本語学習者で、独学や他の学校である程度学習してきた人の「を」の発音が「WO」になっていることが目立つことに気がついたのが切っ掛けだった。


もちろん「を」の前の音の影響によって自然に「WO」に近くなったり、歌の場合、歌唱法として「WO」と発音するのは問題ないと思うが、日本語の五十音図の音節の発音としては「お」も「を」も「O」のはずである。


平安中期までは「を」は「お」と区別されて「WO」と発音されていたようだが、現代日本語では音節発音上の両者の区別はない。


これは「日本式ローマ字綴り方」、あるいはパソコン等のローマ字入力で「を」は「WO」で入力するようになっていることが影響しているのではないか。私は現在のローマ字表記の不統一さは早急に解決しなければならない問題だと思っている。


ご存知のようにローマ字の綴り方には「標準式(俗に「ヘボン式」とも言う。この小文では「ヘボン式」と呼ぶ)」「日本式」さらに両者の要素の一部を取り入れた「訓令式」がある。


「ローマ字のつづり方」(昭和29年 内閣告示第一号)では「訓令式」を原則として「しsi, ちti, つtu, ふhu, じzi, をo,ぢzi, づzu」などを第1表に掲げ、「まえがき」には「1 一般に国語を書き表わす場合は、第1表に掲げたつづり方によるものとする。」とある。


さらに第2表には「しshi, ちchi, つtsu, ふfu, じ ji,<*以上はヘボン式から> をwo,ぢdi, づdu<*後の3つは日本式から>」(*は筆者注)などを掲げ、「まえがき」には「2 国際的関係その他従来の慣例をにわかに改めがたい事情にある場合に限り、第2表に掲げたつづり方によつてもさしつかえない。」とある。


即ち、現代日本語のローマ字の書き表し方は「訓令式」を第一とし、例外的に「ヘボン式」や「日本式」の一部を使っても良い、ということである。しかも、その例外を認める文言は「国際的関係その他従来の慣例をにわかに改めがたい事情にある場合」とどうにでも解釈できる極めて曖昧な表現で記されている。


従って、この「ローマ字のつづり方」は、「訓令式」「ヘボン式」「日本式」のどれを使っても良い、と解釈されることを否定できない仕組みになっている。


つまり、この三種類の表記法を統一するものではない、とことわっているわけである。建前を取れば、日本語のローマ字表記はこの三種類を不統一のまま使用することを否定していないことになる。


因みに、学校のローマ字教育では主に「訓令式」が採用されている。


(*次回は引き続きローマ字について考える)


写真は、言語交換の集まりで。様々な国から来ている参加者と自由な話をする。この日は、自分は何ジンに見られるか、という話で盛り上がった。私は、まず日本人に見られない。

顔かたち、というよりは、発想が日本人としては少数派だから、それが雰囲気に出るのかな、と自己分析している。

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