日本語教育・日本語そして日本についても考えてみたい(その2)

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バルセロナから(2018年11月22、23日) : 「母には二度会ったけれど、父には一度も会わないもの」は、なあ~んだ?

#スペイン #バルセロナ #Japonés #謎々 #言語交換(Intercambio de idiomas)


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バルセロナから(2018年11月22、23日) : 「母には二度会ったけれど、父には一度も会わないもの」は、なあ~んだ?


《なぞなぞ君》:現代日本語の「母(haha)」の「h」音は「声門音」だから喉は使うけれど唇は使わないんだよね。


《ふしぎ君》:あっ、そうか、「二度会う」と言うのは「上唇と下唇が二度出会う」・・・この謎々(「母には二度会ったけれど、父には一度も会わないもの」なあーんだ)の答えは「唇」だ。


でも「母」を「パパ」と発音していたのは奈良時代以前なんだろ?この謎々が書かれた室町時代でも「唇が会う」発音だったんだろうか?


《なぞなぞ君》:謎々の正解は「唇」でいいけれど、問題は今言ったように室町時代の「母」の発音だね。 「ハ行」の子音は、奈良時代以前は「P」音、それ以降は「F」音だった、と言われているんだ。


つまり「ハハ」(haha)は「ファファ」(fafa)だったんだと。室町後期のことばを集めた「日葡辞書」の「母」の欄にも〔fafa〕の発音が書かれているよ。


《ふしぎ君》:じゃ今の「はひふへほ」は「ファ・フィ・フ・フェ・フォ」と発音されていたんだね。


《なぞなぞ君》:そういうこと。「ファ・フィ・フ・フェ・フォ」はローマ字で書くと「Fa・Fi・Fu・Fe・Fo」だけど、日本語の「ファ行」の子音は国際音声記号IPAで表記すると〔ɸ〕となるんだ。


英語の「F」音は、知っているように上前歯が下唇に触れたまま息を出すときに発生する摩擦音で「唇歯音」と呼ばれ、IPAでも〔f〕と表記される。


日本語の「ファ行」の子音〔ɸ〕は、ロウソクの火を吹き消すときのように唇を丸めて上唇と下唇が触れるか触れないかの形で出す摩擦音で「両唇音」と呼ばれる音だ。

「唇歯音」の英語〔f〕音と「両唇音」の日本語〔ɸ〕音は出し方が違う音だけど、音の発生箇所はすごく近いんだ。


《ふしぎ君》:ところで現代日本語の「ハ行」はローマ字で「Ha・Hi・Hu・He・Ho」でいいんだよね。いや、まてよ…。たしか「フ」だけはFを使って「Fu」って書いていたな。


《なぞなぞ君》:うん、いいところに気づいたね。現代日本語の「ハ行」は、訓令式ローマ字では「Ha・Hi・Hu・He・Ho」で、ヘボン式ローマ字では「Ha・Hi・Fu・He・Ho」のように表記するんだ。両者の違いは「フ」の表記で、訓令式が「Hu」でヘボン式が「Fu」になっている。


(*この二人の会話は次回も続く)


写真は、言語交換(Intercambio de idiomas)の集まりで。彼らの中には日本語2級以上のレベルが数人いる。

私との雑談では「神が、髪が、紙が」の高低アクセントの使い分けについての話にも及んだ。レベルが高いね。

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