日本語教育・日本語そして日本についても考えてみたい(その2)

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バルセロナから(2018年11月18、19日) : 日本語の教育現場における”勇み足“についての「文化庁からの回答」に想う

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バルセロナから(2018年11月18、19日) : 日本語の教育現場における”勇み足“についての「文化庁からの回答」に想う


日本語の「エ列+い」の語の発音を巡っての参考意見として文化庁に提出した


<「時計」は「トケイ」なのか「トケー」なのか?>についての小文

(*ここで数回に渡って述べて来た私の投稿と同内容)


に対して、文化庁文化部国語課から回答がありましたので、ご報告します。


まず、

《頂いた御意見,お考えを,今後の課題の一つとして前向きに取り組んでいけたらと存じます。》

と始まり、次のように説明がされていました。


《日本語だけではありませんが,言葉には,地域性や年代差,時代差があります。

したがって,「正しさ」というものを一つに絞るということは非常に困難であると考えられます。》


ここまで読んで、私は「またか」と思いました。言語や言葉について「正しさ」とか「美しさ」という表現を安易に使う文や論に出会うたびに、非常な違和感を持つからです。


私は今回の小文のなかで、「正しさ」などという言葉はただの一度も使っていませんし、そもそも一般的に言っても、言葉の問題を扱う話や文のなかで「正しさ」とか「正しい」などという表現は使うべきではない、というのは言葉を専門とする者の基本的心構えではないか、と思っています。


「正しい」とはまことに曖昧、主観的な言葉で、使う側にとっていくらでも恣意的に自分の論を粉飾したり、相手の論を意図的に曲解したりできる性質のものなのです。


「正しい」は「正式」「正統」「正当」「正義」など全ての「正」のイメージを容易に重ね合わせられる表現です。言葉にもっとも求められるのは「的確さ」であることを再認識しなければならない所以なのです。


このように今回の文化庁からの私への回答には、読み出しの最初から落胆していまいそうな表現があったのは残念ですが、それでも、海外からメールで送った意見文にきちんと回答していただいたことには感謝したいと思います。


文化庁からの回答には、さらに、私自身が「国語教育」と「日本語教育」とに用語を分けて使っていることに関連させて、次のように記されていました。


《母語話者に対しての国語教育と外国語習得者に対しての日本語教育とで「正しさ」を一つに絞るというのは同じく,非常に困難なものもあると考えられます。》


上の「正しさ」を「的確さ」に置き換えて理解したほうがいいのかもしれません。


繰り返しますが、私は日本語の「正しさ」を問うているわけではないのです。


また、私が小文の中で指摘した、一部の教材市場が決まっていないことをさも自明のことのように扱った「勇み足」については、次のように説明しています。


《出版された教材に関して,こちらでは,統制や指導は一切行っておりません。

実態に応じた教材を探していただく,御自身の教材をお作りになっていただく等,‌学習者のために,どうぞよろしくお願いします。》


これは海外のように言語アカデミーや正書法の存在しない日本語の現状においてはそのとおりですが、私が危惧しているのは、そうした「勇み足」があたかも唯一の「正当」であるかのように大手を振って歩くことにあるのです。


つまり、ひとつの恣意的な考えが「正当」と誤解され、国語教育や日本語教育における「真摯な逡巡」を駆逐してしまうことを危惧しているのです。


現に日本語教育の教師を養成する講座では、実際にその「勇み足」があたかも「自明の理」のように指導されているところもある、と聞いています。


いずれにしても、文化庁ができるだけ早急にこの問題に関しての調査を広く行ない、国語審議会による再審議が速やかに実現されることを願うばかりです。


ともかくも、一国の母国語を扱う研究機関としては、難しい立場に置かれている文化庁から回答を頂いたことは、重ねて感謝したいと思います。


この投稿をご覧の皆様には各自、この問題を心に留めて、今一度、日本語について考える切っ掛けになればと思い、ここにご報告しました。


写真は、ガウディの傑作建築物「カサ・ミラ」の内部で。クールな"白い貴婦人"の外観とは一変して、内部にはタイル画の色彩が広がっていて、息を呑むような別世界が待っていた。

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