日本語教育・日本語そして日本についても考えてみたい(その2)

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バルセロナから(2018年10月24、25日) : 「東京に行っ《たら》」と「東京に行く《なら》」の正体

#スペイン #バルセロナ #日本語 #たら・なら #ナスの漬物(Berenjena embuchada)


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バルセロナから(2018年10月24、25日) : 「東京に行っ《たら》」と「東京に行く《なら》」の正体


前回の《イフ君》《カテイ君》の2人の会話から、我々は、「たら」や「なら」は「たらば」「ならば」の「ば」の取れた形であり、「たら」形も「なら」形も結局は「《ば》形のバリエーション」に過ぎないことを知った。


2人の会話にもう少し耳を傾けてみよう。 《イフ君》: じゃ「なら」「たら」の正体が分かれば、それに「ば」が付いていると考えればいいんだね?

《カテイ君》: そうだね。まず「たら」について言うと、これは文語文法で出てくる「完了」の「たり」の未然形がそのまま残っていて、この「未然形」(日本語教育では「ない形」)というところが、日本語の仮定法の肝要なんだ。


「東京に行っ《たら》、電話してね」は、

「東京に行く」というまだ実現していない行為が《完了した》ものと想定して「電話してね」と言っているんだ。


《イフ君》:(文語文法の教科書を引っ張り出してきて)この表だよね。未然・連用・終止・連体・已然・命令。あれ、仮定形ってなかったっけ。 《カテイ君》:文語文法の已然形の枠が口語文法では仮定形になっているんだ。


文語では仮定法の「行かば」(未然形+ば)が口語では「行けば」(已然形+ば)に変わったので、文語文法の「已然形」の枠が口語文法では「仮定形」に変わったんだね。


《イフ君》:なるほどね。じゃ、もう一つの仮定法の「なら」の正体は?


《カテイ君》:「なら」は文語「断定・確定」の未然形だ。つまり、「なら(ば)」も「未然形(+ば)」の形が見えてくるだろう?もう大体気づいたと思うけれど、「未然」は「未(いま)だ然(しか)らず」だから「まだ実現されていない」ことを表す活用形なんだ。


そして「ば」は「仮定法の目印」だ。両方合わせて「仮定表現」が実現する、ということだけど、「たら」と同様、目印「ば」がなくても仮定法の働きをすると考えればいい。


「東京に行く《なら》、電話してね」は、

「東京に行く」ことを《確定した》ものと想定して、「電話してね」と言っているんだよ。

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さて、写真は、バルセロナ散歩の途中、フェリアで見つけた漬物「ベレンヘナ・エンブチャーダ」(Berenjena embuchada)。小ぶりのナスに赤ピーマンを詰めウイキョウの枝を突き刺して塩と酢に漬けたものである。ご飯が進みそう!

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