日本語教育・日本語そして日本についても考えてみたい(その2)

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バルセロナから(2018年6月23日) : サン・フアンの短い夜

バルセロナから(2018年6月23日) : サン・フアンの短い夜


今日は、1年のうちで最も夜の短いサン・フアンの日である。スペインでは本格的な夏を迎える日として盛大に祝う。


この夜ばかりは花火や爆竹で子供たちが夜遅くまで楽しむのが許される。大人たちもかつて通ってきた道を懐かしむようにこのフィエスタを愉しむ。


私はサン・フアンの火を通しての祭りをビクトル・エリセ監督の清冽な映画作品「南へ」(Al sur)で知った。


それは今日バルセロネタの海岸で見た賑やかなものではなく、寧ろ荘厳な宗教行事をそっと覗き見したような記憶さえある。


作品の中で主人公の少女が恐る恐るサン・フアンの夜に焚き火を飛び越える。大人への通過儀礼を暗示しているようだった。


そういう焚き火のシーンを今夜は見られなかったが、私のサン・フアンのイメージはいつもあの一篇の詩のような清冽さそのものだった。


時は移り変わっても、この日は私にとって多感な日々に出逢ったあのビクトル・エリセの映画のワンシーンを重ね合わせて愉しむフィエスタなのである。

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