日本語教育・日本語そして日本についても考えてみたい(その2)

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バルセロナから(2018年3月4日<その2>) :「思ったトウリ/トオリ」?(2)持続可能な日本語のために

バルセロナから(2018年3月4日<その2>) :「思ったトウリ/トオリ」?(2)持続可能な日本語のために


前稿で例を挙げた「思ったトウリ/トオリ」等以外でも、

例えば,「王手」「大手」は,現代では一般に共に「オーテ」と発音されるが,現代仮名遣いでは,「王手」は「お【う】て」,「大手」は「お【お】て」と書き分けなければならない。


じつは、「王手」の「王」は,「お」の長音として「おう」と書くのに対して,「大手」の「大」は,歴史的仮名遣いが「おほ」であるから、元来は長音ではなく「お+お」という連母音であるという考え方に基づいて「おお」と表記されているのである。


もちろん、現代の発音では区別することが難しく、共に「オー」と長音として発音されるのだから、「王」「大」を「おう」「おお」と書き分ける由来を知るには,歴史的仮名遣いまで辿らなければならない。ここには、「現代仮名遣い」の成立が国語表記の"改革派"と"保守派"の妥協の産物だった事情が垣間見えるのである。

以上のような実状を踏まえて「持続可能な日本語」のために次の提案をしたい。


(1)〔オー〕と発音する「Oの長音」の現代仮名遣いのひらがな表記は、その歴史的仮名遣いに関わらず「O音+う」と書いてもよい。


(2)上記の規則は、従来の「O音+お」「O音+う」の二通りの書き分けを拒むものではない。


*(2)は言語慣習の移行に伴う当面の混乱を避けるための附則とする。


前稿で述べた通り、今日では日本語のプロであるはずの日本語教育に携わる人々までが間違える事態を鑑みると、日本語を学ぶ外国人や帰国生たちが日本語表記に余計なストレスを抱えないためにも、また、日本の子供たちが理解し難い書き分けに苦しまなくて済むように、日本語の「仮名遣い表記の矛盾」ができるだけ小さくなることを、願わずにはいられない。

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