日本語教育・日本語そして日本についても考えてみたい(その2)

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バルセロナから(2018年2月10日) : 「サグラダ・ファミリア異聞」(15)命中 

バルセロナから(2018年2月10日) : 「サグラダ・ファミリア異聞」(15)命中 

                                                        



  サムライの投げた礫は、その“枝”を真ん中からしならせた。その瞬間、「むむ…」という微かな呻き声を彼は聞き逃さなかった。続けざまに放たれた次の礫は、“幹”の瘤に鈍い音を立てて命中した。



ぐらりと落下しそうになったが、かろうじて本物の枝に左手の先を引っかけた黒装束の男は、ほとんど同時に右手から黒光りするものを放った。唸り声を挙げて顔を襲ってくるそれを、サムライは左手の竹刀で叩き落とした。またも手裏剣だった。



雑木林の暗闇にも目が慣れ、黒装束の姿が月明かりにうっすらと浮かび上がった。顔もすっぽりと黒い頭巾で覆ったその男は、そのまま枝に掛けた左手一本で反動を付けて、一回転しながら奥の木に飛び移った。「なんて奴だ」……サムライは呆れながらも、男に放った礫の手ごたえを感じていた。素早く奥の木へ走り、黒装束を追い詰めた。明らかに右ひざを庇う動きに、黒装束の焦りさえ窺われた。



 今回は逃がさない。その木を見上げたサムライは懐から二つの礫を取り出し、それを同時に放った。尋常の人間が投げつけた礫ではない。サムライの並外れた集中力が、驚くべき身体能力と相俟って、彼の右腕を振らせたのだ。


そこから放たれた二つの礫は生き物のようにしなり、夜のどす黒い空気を震わせながら、黒装束の男の両足の膝に突き刺さった。又も「むむ…」という短く低い声が聞こえた。



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